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医院開業〜メディカルコラム〜

医療コンサルタント
吉川 絵葉

看護師を経て、医療コンサルタントへ。メディックス総合研究所員



クリニック効率経営のポイント@
〜医療材料編〜


 クリニックに限らず、経営者にとって永遠のテーマは、いかに対費用効果を上げて収益を確保するか、いかに無駄な経費を抑えるか、だと言えます。「患者さんは順調に増えてきたと思うのに、経営は全然楽にならないな・・」そんな思いを抱かないために、クリニックの効率経営のカン・コツ・ツボをご紹介します。第1回目は、医療材料に注目して考えてみたいと思います。


適切な医療サービスを提供するために
 診断・治療・処置を行うためには、様々な種類の医療材料が必要です。シリンジ・針・ガーゼ・アルコール綿・点滴物品・テープなど・・院内を見渡せばそれこそ数え切れない種類の医療材料があるはずです。
  しかし、それらは全て必要でしょうか?患者さんに適切な医療サービスを提供するためには、無くてはならないものですが、コスト意識をもって使用することが大切です。

今までご勤務されてきた総合病院や大学病院では、コストはさておき、患者さんに安全でスピーディーな医療の提供を心がけてこられたことでしょう。薬剤を詰めるのにシリンジを何本も使用したり、採血・点滴の際にアルコール綿を多量に使用したり、何でもとりあえず「医療廃棄物」として捨ててしまっていたり、包帯交換にガーゼをふんだんに使用したりしてはいませんでしたか? 開業してからは、診察・治療に専念していればよかった勤務医時代と同じ感覚でいては、とんでもないことになってしまいます。


「買う・使う・数える」と「買い方・使い方・数え方」 「開業しても勤務していても医師は医師。備品の発注や在庫の管理はスタッフに任せて、診療に専念する事で患者さんにmore betterな医療サービスを提供することが大切だ」と、私が経営改善で指導させていただいたAクリニックの院長先生に言われたことがあります。 「僕は物品のことはよくわからないから、看護師に任せる方が早いんだよ」というA先生のクリニックを初めて訪問し、院内を拝見すると、まず不良在庫の多さが目につきました。使用使途が不明な医療材料が、そこかしこに保管され、スタッフに尋ねてもはっきりとした回答がありません。使途不明どころか、使用期限が切れているものも遍在しています。せっかく、よい医療を提供するために購入した医療材料ですが、まったく使い道がありません。 なぜこのような結果になったのでしょうか。 実際のところ、忙しい診療の合間に先生自ら、在庫管理をし、発注作業を行うのは困難でしょう。看護師をはじめ、スタッフに医療材料の管理を任せることに、何ら問題はありません。ただ、任せっきりはいけません。「買う事、使う事、数える事」がスタッフの仕事です。スタッフの意識は、勤務時代の先生の意識とあまり変わらないということを理解して、院長先生が経営者としてスタッフに対し、「買い方・使い方・数え方」を指導していかなければなりません。 たとえばシリンジひとつをとっても様々なサイズ・種類があります。開業当初は、様々な想定をして幅広く揃えています。そこで、自院ではどの種類の使用が多いのか、めったに使わないのはどの種類かといった効果測定をさせましょう。効果測定から無駄な購入、不良在庫を浮かび上がらせ、抜本的なコストダウンを図らなければなりません。


スタッフの意識改革からはじまる
 医療材料は、その使い方、自院にあった購入サイクルの組み立て、適正な使用使途で消費されているかなど、日々の検証からコストダウンを図ることが可能です。 病院勤務時代と同じ感覚で医療物品を消費し、使用方法の工夫をせずに、看護師に好きなものを購入させているならば、毎月の経費は嵩む一方です。適宜効果測定をさせ、必要なものを必要なだけ購入する、無駄のない使用方法を検討する、そしてまた効果測定をする。いわゆるPLAN DO SEEといったマネジメントサイクルがクリニックにも当てはまるといえるでしょう。こうした医師の適切なマネジメントがスタッフの(コスト)意識改革を促すことが出来、結果としてクリニックの効率経営への第一歩となるのです。