看護師・介護支援専門員
高井 幸恵
国立病院勤務を経て在宅医療・介護を専門としたコンサルティングを行う。メディックス総合研究所取締役
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目標思考型の「要支援」
介護保険制度改革に向けて
今回の介護保険改正で、新しく加わった視点として『要介護の人々をできる限り自立した生活ができるようにする』が挙げられます。
従来の介護サービスは、「介護してもらう」という姿勢が強く、要介護の方が増える一方で、介護保険料の負担増大が問題となってきていました。
そこで、 『介護が必要となることを予防する』という目標指向型の介護サービスに転換することにより、要介護の人々を減少させようということになりました。
現行 |
改正後 |
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要支援 |
要支援1 |
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要支援2 |
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要介護1 |
要介護1 |
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要介護2 |
要介護2 |
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要介護3 |
要介護3 |
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要介護4 |
要介護4 |
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要介護5 |
要介護5 |
介護予防サービスのプラン作り
この4月に設置された「地域包括支援センター」や地域のケアマネージャーが訪問の上、状況を把握して必要な介護予防サービスを組み立てていきます。
従来は生活面、運動面に分けて必要である問題を見つけ、本人の希望を重視してサービスを組み立てていましたが、今後は総合的に、その方がより自立できるための支援を地域包括支援センター職員やケアマネージャーが考えてプランニングすることになります。
専門職からみた視点が重視されることになり、各家庭の諸事情から、家族が本当に必要としているサービスが行われるかどうか、不安が残ります。また、プランニングする際には、認定の区分でそれぞれ決められた金額の範囲内で総合的な組み立てを考えることになります。
しかも、一定のサービスに偏ったプランニングは出来ません。
例えば、ヘルパーサービスに決められた上限があり、家事が不安であれば通所介護などで体力回復を目指すプランを組み入れるなど3ヵ月後に進展があることを目指したプラン作りを行うことが求められます。
新区分における介護予防サービスの組み立て
現行の要支援は、区分が設けられていませんでしたが、改正後は要支援1及び要支援2に分けられることになりました。要支援1と要支援2では受けられるサービスがどう違うのでしょうか。「閉じこもりがちな人」を例に見てみましょう。
今後の目標と課題
厚生労働省は、介護保険の財政安定のために、現行の介護保険において、「要介護1」の人々をいかに減らし、「要支援1」や「要支援2」へ移行させていくことが出来るかを今後の課題としています。
国の試算では、現在の「要介護1」の人々のおよそ7割は「要支援1」もしくは「要支援2」へ移行できるのではないかと言われています。
しかし、都内S区にて試行したところ、厚生労働省の目論見とは大きく乖離して3割程度しか移行できませんでした。
新しい認定は4月1日から有効になりました。
経過期間もあり、本格的な開始は半年後です。まだまだ不透明な部分が多い新制度ですが、今後も更に検証していきたいと思います。
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